「第2回 フェリス・緑園都市 コミュニティー GIS Day」に参加して

11月23日、横浜のフェリス女学院大学で開催された「第2回フェリス・緑園都市 コミュニティー GIS Day」において、”スまっぷ”の紹介と「コミュニティリスクとリスク管理」と題したフォーラムのパネルディスカッションに参加することができました。
地域の安全にGISがどのように役に立てられるかということがテーマだったのですが、GISの技術的なことより、地域の安全をまもるという活動をどうすれば継続的に推進できるかということが議論の中心になりました。
フェリス女学院大学のある緑園都市の自治会で安全活動をされておられる方の発言では、活動を支えるのは、やはり活動の中心となる人物の熱意と行動力ということに依存するのではないかということでした。
そのような観点からすると、現在PTAを中心として運用している”スまっぷ”は、毎年メンバーが変わるため、問題があるかもしれません。運用組織を、これまでのように学校に通う生徒の保護者を中心とするのではなく、地域の幅広い層からのメンバーにより構成すべきかも知れないと思いました。
緑園都市では、緑園都市コミュニティ協会が、青色回転灯をつけたパトロールカーで週2日、一日のうちに3回のパトロールを実施しているということです。
時間は、朝昼の小学生の登下校の時間に合わせているそうです。
パトロールのメンバーは、地域の年齢50歳から80歳までのどちらかと言えば高齢者の方が中心ということですが、メンバーの募集には苦労されたそうです。メンバーにとって、子どもたちから挨拶されることが何より励みになると話しておられました。
これまでに、空き巣などの犯罪が起きているが、それは全てパトロールの時間外で発生しているそうで、いつパトロールするかが分かるのは問題かもしれないという心配に対して、アメリカの小学校では、子どもたちの学校行事に関する情報は完全にオープンになっていて、いつ何時に子どもたちが学校から帰るかは誰でも分かるようになっている。そのほうが、地域で子どもを守るとことができるからというお話もありました。
また、地震等の防災に対応するためには、顔の見える関係での日常的な地域の助け合いが不可欠で、可能な限り色々な異なるグループの参加が必要であるとのお話しもありました。
そのような活動のひとつとして、ガールスカウトが地震災害の際に問題となる道路等に面して設置されている自動販売機の位置を調査し、地図にしてくれたそうです。
この情報をGISにして公開しているかどうかは聞き忘れてしまいました。
最後に、今回のフォーラムで最も印象に残った言葉をご紹介します。
「コミュニティは存在するものではなく、形成するものである。」
是非、”スまっぷ”の活動もそのような精神で進められればと思います。

リスクコントロールとクライシスマネジメント

一般的に、
リスクコントロールとは、想定されるリスクができる限りおきないようにコントロールすることであり、
クライシスマネジメントとは、実際にそのリスクが起きようとしている時、あるいは、起きてしまった場合にどうするかをあらかじめ決めておいて、被害を最小限にすることを意味している。
このような二つの考え方に照らして、”スまっぷ”をどのように利用すればよいかについて考えてみた。
通学路の危険な箇所について、子どもや先生、保護者が一緒になって調査し、その場所を地図に記載して情報を地域みんなで共有するという意味は、子どもたちが、通学路の危険な箇所を通るときには、それなりに注意して通るということにつながり、地域の人々も子どもたちがそこを通るときには、できるだけ注意して見守るということが期待されるので、子どもが被害に合うことをできるだけ防ぐという効果を期待するということである。
このことは、まさにリスクコントロールを意味している。
これに対して、”スまっぷ”の緊急連絡システムは、まさに今、不審者が子どもを狙ってうろうろしているという場合、すぐに保護者の携帯にその情報をメールで連絡し、保護者はその情報を受け取ってすぐに、自分の子どもや周囲の子どもを守るアクションをとるということになる。
これは、被害が起きようとしている場合の、クライシスマネジメントを意味している。
実は、この二つのことは、区別して捉えるべきと思っている。
”スまっぷ”は電子地図を使って、情報を共有する仕組みであるが、リスクコントロールという意味では、紙に印刷した地図に危険な場所を書き込んで、関係者に配布する。また、定期的に情報を更新し、1年に数回新しい情報を提供するということでも対応できるかもしれない。
しかし、クライシスマネジメントのように、まさに、今何らかのアクションが必要とされているときには、その方法では情報伝達に時間がかかりすぎ、対応が遅れる可能性が出てくる。
この場合、情報を直ちに関係者に連絡する、しかも、その場所を正確に伝達するという意味で、ITの利用は欠かせない。
保護者の中には、なぜ電子地図を利用した仕組みが必要なのか、紙の地図でも十分ではないかと思ってる方もいらっしゃると思う。
是非、従来型の紙による伝達方法では対応できない場合もあることを理解して欲しい。

”スまっぷ”を見てくれている人の感想

時々、”スまっぷ”をどんな人が見ているのか気になります。
つくば市のコミュニティサイトで、”スまっぷ”が話題になっているのをたまたま見つけました。
つくば市にこれから移転してくる予定の方が、つくば市の子どもに関する治安について心配され、情報を求めていました。
これに答える形で、こんなサイトもありますよと”スまっぷ”が紹介されていました。
ちょっとうれしい気分でした。
でも、問いかけをした方は、”スまっぷ”や茨城県警の犯罪マップなどをご覧になって、「つくばも結構あぶないことが起きているんですね」と驚き、心配になったと書かれていました。
その後、何回かのやり取りがあって、最後に「治安に関する情報がしっかり管理されていて、これなら大丈夫と安心しました」と書かれていたことについては、改めて地域で子どもたちの安全情報を共有することが意味あることなんだと認識されられると共に、”スまっぷ”を続けることの責任も感じた次第です。