学校を核とした住宅市街地整備の推進に関する報告書((財)国土技術研究センター平成15年3月)によると、子どもたちの通学路の安全な整備のあり方にとして、次のようにまとめています。
①子どもにとって安全・安心な通学路
ア 交通事故や転倒事故等に遭う危険性や不安感の少ない通学路等
イ 周囲からの見通しが確保された通学路等
ウ 周囲に「人の目」が確保された通学路等
エ 夜間には一定の照度が確保された通学路等
オ 緊急時には避難する場所が確保された通学路等
②子どもにとって魅力的な「通楽路」
ア 沿道に四季折々の花があり、小鳥がさえずり、
心地よい風や星空が楽しめる通楽路
イ ゴミが放置されず、違法駐車が少ない
ウ 地域の歴史や文化を見い出し、美しいまち並みが続き、
時にはイベントが行われ、地域の人たちと挨拶が交わせられる
③高齢者等が外出しやすい散歩道
・子どもだけでなく、高齢者や障害者にとっても安全・安心
・高齢者が休めるようなスペースの整備は、通学路等の通行量が増え、
視線が確保されることにより、子どもの安全・安心につながる。
この中で特に関心を持ったのは、②と③の子どもや高齢者にとっても魅力的な通学路について触れている点です。子どもたちが通学路で犯罪被害にあわないか、交通事故にあわないかなど、びくびくしながら歩かなければならないとしたら、実に悲しいことですし、そのような環境で子どもたちが情緒豊かに育つのかどうか、不安を覚えます。
鳥が鳴き、花が咲き、通りの人々が楽しく対話しているそんな通学路、現実とは程遠いとも思われるそんな通学路をなんとか取り戻したい、そんな気持ちになります。
この報告書では、通学路等の整備に当たって、次の5つの基本方針に基づき、犯罪等に対して安全な整備のあり方を検討し、関連施設の計画、設計及び維持管理を実施するとしています。
ア 車の接近を妨げる
・通学路に犯罪企図者の車が容易に接近しにくいように、
歩車道の分離措置を講じる。
イ 周囲からの見通しを確保する
・通学路等及び沿道敷地の樹木や囲障等は、
周囲からの死角の原因にならないよう留意する。
・通学路等及び沿道敷地の屋外照明は、一定の照度が連続して確保。
ウ 周囲からの視線を確保する
・通学路等に対する自然な視線が確保されるように、
沿道に居室の窓や居住者管理の花壇等を配置する。
・公園、広場、学校施設、集会施設等の魅力を高めることにより、
子どもや地域住民の利用機会を増やす。
エ コミュニティ形成を促進する
・通学路等の沿道に、子どもたちや地域住民等が集える場所を確保。
・公園、広場、学校施設、集会施設等の魅力を高めることにより、
子どもや地域住民等による適切な維持管理を促進する。
オ 緊急時における避難・通報体制の確保
・通学路等の沿道に、子どもたちや地域住民等が緊急時に避難できる
場所を確保する。(「子ども110番の家」等)
・地下通路、公衆便所等、周囲からの視線が確保できにくい場所には
必要に応じて緊急時の通報装置等を設置する。
このような観点から、現状の子どもたちの通学路について、地域が協力して診断できないでしょうか。