地域でつくる、防犯・防災・環境マップ (横浜緑園都市の活動紹介)

地域で、防犯、防災、環境づくりに関するこんな取り組みをしている事例を見つけました。
(2004年の情報なのでちょっと古いかもしれませんが・・・。)
つくばでもこんな活動ができたらと思い、ご紹介することにします。
マッピングプロジェクト@緑園
場所は、横浜市泉区にある緑園都市。
豊かな緑と美しい街並みに囲まれた閑静な住宅街ということで、つくばにも少し似た環境なのかもしれません。
しかし、2003年12月中頃~末にかけて、この緑園都市ではひったくりが急増したそうです。
そこで、この緑園都市にキャンパスを置く、フェリス女学院大学のGIS研究会のメンバーがこんな取り組みを開始しました。
まず、最初に、この地域で発生した過去の犯罪(空き巣、ひったくり、痴漢)データをもとに、この地域のどこで犯罪発生したかをマップにしています。
ここまでは、私たちの”スまっぷ”とも共通です。
さすが、GIS研究会だけあって、この作成した地図より犯罪が発生した場所の特徴を分析しています。特に、防犯灯のあるところとないところで発生状況に違いがあるかどうかを調べています。
例えば、ひったくり事件については、「防犯灯が少なく、人通りの少ない他より通り抜けしやすい街路でおきている」というようなことが、事件が発生した地域の地図上に書き込んであります。
この地域に住んでいる人にとっては、これをみればどんな場所に注意すればよいか、どんな犯罪に気をつけなければいけないかなど、よく分かりますから、大変貴重な情報になっているのではないかと思います。
地域の人たちが、実際にこのマップをみて、どんな感想をもったのか直接聞いてみたい気もします。
特に気になることは、その後、このマップを作成したことで、地域の人たちがどんな活動を始めたのか、その結果、犯罪は少しでも減少したのかという点です。
犯罪は、そう簡単に減少するものではありませんが、地域の人たちがこのような情報をお互いに共有することで、効果的な防犯活動ができると思いますし、そのような地域の活動なくして犯罪の減少はあり得ないと思います。
この緑園都市での取り組みは、私たち”スまっぷ”の活動においても大変参考になるものです。
つくばは、研究機関や大学が多い都市ですから、一度、GISに関して興味ある人たちが集まって、緑園都市での例のような防犯や防災、そして、今地球規模でおおきな問題となっている環境などについて分析する、そんなことが実現できないかと思います。
”スまっぷ”がそんな活動に利用できたら、運営に関わる一人として、これ以上の喜びはないのですが。

今市市に見るこどもの防犯対策

毎日新聞(2006年3月1日)の記事によると、今市の小1女児殺害事件後、市は、安全対策をほぼ完了させたということです。
記事にあった対策内容を整理してみました。
 <ハード面>
 ・防犯灯設置
  自治会や学校から事件後、計497基の要望があり、459基を設置した。
  残りは製品の納入遅れや電柱を新設しているため、3月上旬に完了。
 ・看板設置
 「不審者注意」の立て看板なども、3月上旬には設置される。
 <ソフト面>
 ・安全パトロール
  自治会などによる「安全安心パトロール」は事件後、
  43団体増えて114団体、4839人が参加。
  交通指導員や民生児童委員、老人クラブ会員、廃棄物監視員らが、
  下校時を中心にパトロールを実施。
 
・防犯ステッカー
  宅配業者や福祉サービス事業者などに新たに1459枚が交付された
 ・避難の家
  市内のコンビニエンスストア26店舗も「ひなんの家」として協力
 ・児童の一時預かり
  放課後児童クラブやファミリー・サポート・センターによる
  児童の一時預かり制度もスタート。
 ・安全マップ作成
  学校では、児童の登下校状況調査や通学路安全マップの作成が完了した。
  保護者への不審者情報メールも3月から始まる。
これらの対策をみると、地域全体の協力なしには、子どもたちを守ることはできないことを強く感じます。

安全マップは学校と地域が協力して作成することが重要

最近、インターネットで公開されている安全マップが多く目に付くようになりました。
これらの安全マップは、主として県警が地域から情報提供を受けて作成している例が多いようです。実際に内容を見ると、子どもたちが日常的と言っていいほど、頻繁に危険にさらされている状況がよく分かります。
ただ、心配なのは、このような情報を子どもの保護者や地域の人達がどれだけ見ているかということです。
せっかく情報が公開されていても、それが地域の多くの人に見られなければ意味がありません。
文部科学省の「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」にも記されているように、安全マップは地域全体が連携協力して作ることが重要です。
安全マップ作るプロセスの中で、どこが危険かを互いに認識できるでしょうし、地域の連携も強くなるものと思います。
また、地域の状況は日々変化しているといえます。その意味で、安全マップも随時更新されなければなりません。
一度作成したら、それでお終いではなく、何回も見直し点検が必要でしょう。
随時更新されるマップの経歴を見ることによって、地域の安全度がどう変化しているかも分かるようになると思います。
是非、安全マップの作成は地域の連携で作成するようにしたいものです。

子どもの安全に関する最近の新聞記事

Yahooで検索してみました。
○地図を使った不審者情報の公開
 和歌山県警「子ども危険地図」(紀伊民報AGARAフラッシュニュース)
○メールで不審者情報
 不審者情報:栃木県警がメール配信 全署から住民に(毎日新聞栃木ニュース)
 携帯メールで犯罪情報速報=初の24時間態勢-23日スタート・大阪府警(時事通信)
不審者情報携帯で:岩手県警(岩手日報)
○ボランティア活動
 防犯:「ハッピーパトロール隊」を編成--新座の自治会が「子供を守る会」 /埼玉(毎日新聞埼玉ニュース)

通学安全マップづくりを通して児童の危険予測・回避能力を身にづける

文科省は、平成17年12月6日各都道府県、教育委員会に「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」の通知文をHPで公開しています。
この中で次の5つの施策を挙げています
1通学路の安全点検の徹底と要注意箇所の周知徹底
2登下校時の幼児児童生徒の安全管理の徹底
3幼児児童生徒に危険予測・回避能力を身に付けさせるための安全教育の推進
4不審者等に関する情報の共有
5警察との連携
この中で、3については、幼児児童生徒に、犯罪に巻き込まれないようにするためには、様々な機会を通じて、危険予測能力や危険回避能力を身につけさせることが必要であるとし、そのためには通学安全マップの作成等を通じた指導が必要であるとしています。
また、通学安全マップの作成については、「児童生徒を参加させることにより、児童生徒が自ら実感を持って危険箇所を認識することが期待できる。その際、小学校低学年の児童だけでは困難な面もあるため、上級生とグループを組ませる、保護者や警察官と一緒に実際の通学路をまわるといった取組も有効であると考えられる。」と述べています。

埼玉県警の地図による~子どもを狙った不審者情報~

埼玉県警のホームページから~子どもを狙った不審者情報~が公開されています。
17年10~12月中に発生した小学生以下を対象とした事案の不審者情報です。
たった3ヶ月の間にもかかわらず、これだけ多くの不審者情報があり、しかも、その内容はこどもに声をかけて連れて行こうとするものも多く、本当に今の世の中どうなっているのと首を傾げたくなるばかりです。
このサイトは、地図を使って特に不審者情報が多い地域を赤く色分けしているので、一目でどこの地域が注意地域か直ぐ分かります。
また、携帯でも文字情報で同じ内容を確認することができるようになっていました。
この情報に基づいて地域がどのような活動をするか、そこが重要と思います。
これからも、このような視点で、情報を収集していきたいと思います。

奈良県でも、保護者の携帯にメールで不審者情報を配信

奈良県教育委員会では、平成17年2月より、不審者情報を保護者に携帯メールで配信しています。
http://www.nara-c.ed.jp/seishi/hushinsha-joho01.htm
上記のアドレスでその内容を見ることができます。
これを見ると、昨年12月の記事だけでも、30件以上、1日1件以上の不審者情報があるという状況です。
“スまっぷ”にも、携帯メールで不審者情報を含め、緊急性のある情報はメール配信することができます。
これまでに、この仕組みを利用して配信された情報は僅かですが、実際には不審者情報は報告されないだけで、もっとあるのかも知れません。
“スまっぷ”の普及を急ぎたいと考えております。
ご協力お願いいたします。

千葉県警でもこどもの安全のために不審者情報をマップで提供

千葉県警のホームページから「不審者情報マップ」をみることができる。
千葉県の各地域の地図上に、最近3ヶ月以内に提供された不審者情報の位置を、丸で囲って表示し、さらに、その丸をクリックするとその詳細な内容が表示できるようになっています。
例えば、こどもの通学路で不審な男がこどもに声をかけてきたというような内容が記載されていました。
これをみることで、自分のこどもの通学路が安全に関して今どのような状況なのかを誰でも簡単に把握できる仕組みになっています。
また、不審者情報をメールで警察に連絡できる仕組みもあるようです。
“スまっぷ”と少し違う点は、不審者が出た場所は、かなり大きな丸で囲ってあるので、その位置を“スまっぷ”ほどには特定できないと思われる点ですが、あまりその場所を厳密に特定できたとしても意味が無いのかもしれませんから、“スまっぷ”でも地図の拡大率については、今後検討する必要があるかもしれません。
“スまっぷ”は、現在つくば市の一部でしか運用されていませんが、千葉県では県全体として運用されていますから、“スまっぷ”も早く、つくば市全体そして茨城県の多くの地域で利用していただきたいと思います。

警察庁平成17年(1月~11月)の犯罪情勢が公表されました

警察庁の生活安全の確保に関する統計として平成17年(1月~11月)の犯罪情勢が公表されました。
これによると、「子どもを被害者とする犯罪に関して、平成17年(1~11月)における子ども(少年、20歳未満の者)の刑法犯に係る犯罪被害件数は、30万4,216件(全体の17.5%)となっている。また、これを、子どもが被害者となる割合の高い罪種について見ると、略取・誘拐(77.7%)、強制わいせつ(56.9%)、公然わいせつ(52.5%)、恐喝(45.5%)及び強姦(42.4%)などが全刑法犯被害件数に占める子どもの割合(17.5%)より高くなっている」ということです。
さらに、「子どもの就学別に犯罪の被害に遭う割合が高い場所について見ると、未就学児童については共同住宅、一戸建住宅及び道路上が高く、小学生、中学生については駐車(輪)場と道路上が高くなっている」ということです。
子どもを何から守るか、どのような場所を注意すべきかということを考える非常に貴重なデータであると思います。
実際、私たちのくらすつくばでは、状況がどのようになっているのか、自分たち自身の目で確認していく必要があるのではないでしょうか。