県立並木高等学校は、今月11日昨年度の通学路における危険箇所データを、”スまっぷ”を利用して公開しました。
公開されたデータは、交通事故の危険性のある場所、声かけなど犯罪の危険性のある場所の二種類です。
交通事故や犯罪は必ずしも同じ場所で起きるとは限りませんが、交通事故が起こりやすい場所、また、高校生をターゲットに声をかけてくる場所がどんなところか、犯罪に巻き込まれないようにするにはどんなところに注意すべきかなど、参考にできることは多いと思います。
是非、そんな意味で活用して欲しいと思います。
今回、並木高校では初めてスまっぷを利用していただきましたが、課題も出てきました。
並木高校は地域の小中学校に比べて通学路の範囲が広く、生徒はつくば市だけでなくとなりの土浦市、牛久市からも通ってきています。
しかし、スまっぷで登録できる範囲は、つくば市に限られていますので、登録できなかったデータもありました。
今後は土浦市や牛久市など、より広い範囲をスまっぷがサポートできるようにする必要があると考えます。
安全ワークショップのご報告
昨日、国土地理院で”安全ワークショップ”が開催され、私たちが進めているスまっぷについても、ご紹介する機会を得ました。
ワークショップは大変盛況で、会場の外にもあふれるほどの参加者で、改めて子どもたちの安全に関する地域の関心の高さを感じました。
私がワークショップの中で特に関心を持ったのは、講演された立正大学の小宮先生のお話でした。
小宮先生は、これまでにもいろいろなところで地域安全マップの作成の考え方について講演されていますが、子どもたちにとって危険な場所というのは、「入りやすく見えにくいところ」ということをおっしゃっています。
そのような意識で、実際に通学路を歩いて、そのような危険な場所を地域安全マップとしてまとめるという考え方が重要ということです。
なんとなく、当たり前のように聞こえますが、小宮先生のお話では、実際に作成されている地域安全マップには、不審者マップや犯罪マップなどのように、場所ではなく、人に注目して作成されているものも多く見られ、特に、不審者というのは、子どもたちにも地域の人を不審な目でみることを強要するようなもので、教育的な見地からも全く意味の無いものであるとのことです。
今私たちが進めている安全マップ”スまっぷ”も、そのような失敗をしているのではないか、もう一度見直したいと思います。
”スまっぷ”を改良して、見やすくしました
PTAからの要望もあり、”スまっぷ”を改良して見やすくしました。
改良した主な点を列挙いたします。
①広域の地図表示をしたとき、詳細道路等を表示しないようにしました。
これまで、画面上で地図を縮小して広域を表示したときに、細かい道路等が表示されるため、地図全体がごちゃごちゃして見難いという声がありました。
このため、地図の縮尺を小さくしたとき、表示する地図の内容を制御して、詳細道路や地番などを表示しないようにするなどして見やすくしました。
②シンボルのサイズを大小選択できるようしました
通学路の危険箇所のデータが、ある場所にかたまって登録されているばあい、シンボルが大きすぎて地図が見えなくなり、場所の確認がよくできないという声がありました。
このため、表示シンボルを大小選べるようにして、シンボルが重なっているところでは、小さいシンボルを選択する事で見やすくできるようにしました。
③危険箇所のラベル表示/非表示の機能を追加しました
これまで、危険箇所ごとにラベル(見出し)を表示していましたが、地図の広域表示をすると字が重なって見づらかったため、ラベルを表示するかどうか、見る人が選択できるようにしました。
④注釈の文字を整理しました
つくば駅や新しいショッピングセンターなどを追加すると同時に、これまで、研究所や大学の名称が、敷地内に複数表示され見づらかったのを、名称の表示数を減らすことで、見やすくしました。
⑤つくば公園通りを地図に入れました。
松見公園から赤塚公園まで走っているつくば公園通り(ペデストリアン)を地図上に表示するようにし、場所の特定をしやすくしました。
ご覧になって、ご意見がありましたらこの記事にコメントとしてお寄せください。
川崎市でのこどもの転落死事件
「川崎市の自宅マンションで、転落死した小学校三年生(9つ)が、殺害された可能性が強まり県警が二十九日夜、捜査本部を設置したことを受け、市教育委員会は三十日、学校事故対策委員会や市内の小学校長を集め臨時小学校長会を開くなど、子どもの安全対策に追われた。
・・・
市教委は各小学校長に通学路、登下校時に危険が予測できる場所の安全対策を求めるよう通知。さらに危機管理室、市民局、健康福祉局との四者連絡会議を開催。子どもの文化センターなど市内の子ども関連施設などで不審者がいた場合、情報を共有していくことを申し合わせた。
・・・
臨時校長会では、市教委が市内約百十校の校長らに、事件と今後の対策を報告。出席した校長からは「保護者らと連携が必要」「市内の全校で足並みをそろえてやっていきたい」などの意見が出されたという。」(3/31東京新聞)
このような子どもが犠牲になる事件が起こるたびに思うことですが、どうしてこんな事が起こるのだろう、何故だろうという疑問です。
それは、逆に言うと、まさかそんな事は起こるわけが無いと思うことの裏返しの感覚だと思います。
今の時代、何が起きてもおかしくないほど、安全が脅かされているのです。
ちなみに、被害に遭った子どもが通っていた中野島小学校の安全マップを探してみたところ、この小学校の危険度マップを探すことができました。
変な人に声をかけられた場所や、暗くて人目につかない道路などが地図上に記載されています。
これを見て気がついたことは、暗くて人目につかない道路が声をかけられた場所とは限らない。というより、むしろそうではないところで起きているようです。
(地図の色使いが、交通と犯罪の危険箇所が区別できなく、よく分からない)
こどもが、親や地域の人々の目から離れて見えなくなる場所といういわゆる死角は、もっとたくさんあるのだと思います。
親と子ども、先生と子どもが、地域の人々の協力を得ながら、もっと実際に子どもたちの通学路を歩いて、徹底的に死角になる場所を探し、その情報を地域全体で共有し、犯罪者を締め出すことが必要と思います。
「子どもの防犯チェックリスト」で、もう一度チェックしてみませんか
茨城県の安全なまちづくりガイドのHPより「こどもの防犯チェックリスト」がダウンロードできます。
お子さんと一緒に、ときどき、チェックしてみてはいかがでしょうか。
1.きんじょの人に元気にあいさつをしていますか
2.「こどもを守る110番の家」を知っていますか
3.おうちにかえったら、大きな声で「ただいま」といっていますか
4.だれとあそぶか どこであそぶか なん時にかえるか おうちの人に話してからでかけていますか
5.あぶないところであそんでいませんか
6.おうちの人と「地域安全マップ」をつくったことがありますか
7.かえりがおそくなった時は、明るい道をとおってかえっていますか
8.ガードレールの内側を歩いていますか
9.防犯ブザーやホイッスルをならしたことがありますか
10.そとで一人であそんでいませんか
ぜんぶ「はい」になるよう、がんばろう!
不審者情報をどう活用したらよいか
地域にとって、子どもの安全をどう確保するかが大きな問題となっている中、通学路の不審者情報を、県警や教育委員会などからインターネットを通じて公開する例が増えています。
子を守る親として、子どもの安全に関わる不審者情報がインターネットで得られることにより、地域のどのような場所に注意をしたらよいか、どんなことに対して注意をしたらよいかなどを判断できるようになると思います。
しかし、不審者情報が必ずしも犯罪には関係ない場合があったり、不審者が一度現れたからといって、同じ場所にいつも不審者が現れるわけではないなど、不審者情報を実際にどのように活用したらよいかは難しい問題です。
”スまっぷ”を利用している小学校では、年に一度、それまでに登録されてた不審者情報などをもとに、注意すべき場所についてマップに整理し、これを印刷して全校生徒に配布しています。
この不審者情報の分析・整理がとても大切なことだと思います。
”スまっぷ”では、現在、この分析結果についての情報公開機能をサポートしていませんが、今後、一定のサイクルで、蓄積された情報に基づいて注意が必要な場所を分析した結果についても、利用者の皆さんと相談しながら、インターネットで配信できるようにしていきたいと考えています。
是非、皆様のご協力をお願いいたします。
「地域安全マップ ワークショップ」が開催されます
4月8日(土)、国土地理院と日本国際地図学会との共催により、「地域安全マップ ワークショップ」が開催されます。
◇名 称 地域安全マップ ワークショップ
◇開催日時 平成18年4月8日(土)13:30~15:30
◇開催会場 国土地理院 地図と測量の科学館(つくば市北郷1番)
◇入 場 料 無料(事前登録が必要です)
◇主 催 等 主催:国土地理院、日本国際地図学会
後援:つくば市、つくば市教育委員会、茨城県学校長会、茨城県PTA連
(問い合わせ先)
国土地理院 〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
総務部 広報広聴室 室長 山本 国雄 電話029-864-4038(直通)
総務部 広報広聴室長補佐 福島 照子 電話029-864-6254 (直通)
このワークショップで、”スまっぷ”も安全マップの事例として紹介させていただく予定です。
是非、参加されることをお勧めいたします。
広島県のこどもの安全に関するアンケート調査結果より
広島県は今年1月に、こどもの安全に関するアンケート調査を実施しています。
今月この結果が公表されました。
この中より、主な内容をひろってみました。
調査対象者 229人
小学校長: 52人
PTA関係者:50人
地域活動者:127人
調査方法
全員に質問する共通項目
小学校長,PTA関係者,地域活動者への個別の項目により調査を実施
選択又は自由記述により無記名で回答を得た。
回答者数 180人
(問)あなたの地域の子どもの安全に関する環境は,前回のアンケート(昨年)
以降変わりましたか。
⇒よくなった:84.4%
(問)「良くなった」とお答えの方は,その理由をお答えください。
(複数回答可)
⇒防犯パトロール等地域で子どもを守る取り組みが始まった(79.6%)
学校や地域で、地域安全マップを作成する取り組みが始まった(50.7%)
子ども110番の家のステッカーを目にするようになった(50.0%)
不審者情報が迅速に提供されるようになった(30.3%)
(問)あなたの学校(地域)では既に「地域安全マップ」を作製していますか。
⇒小学校長 作製している(45.5%)
地域活動者 作製している(28.3%)
※作製していないと回答した人も今後作製したいとするひとは95%以上
(問)あなたの学校の児童に関わる不審者情報が通報された場合の
保護者等への連絡方法をお答えください。
⇒印刷物(97.7%)
電話(45.5%)
携帯メール(18.2%)
ホームページに掲載(13.6%)
(問)今後携帯メールによる連絡を実施してみたいと思いますか。
⇒思う(30.6%)
思わない(63.9%)
まとめ
昨年の事件があった当時に比べて、環境がよくなったと感じている人が80%以上 というのは、率直によかったと思います。
その原因として、地域の子どもたちを守る活動が始まったことや、安全マップの作製があげられています。
不審者情報の連絡方法については、やはり印刷物で行うというのが圧倒的で、意外に携帯メールは使いたいと思う人が30%程度で使いたくないとする人が多いのにびっくり。地域性があるかも知れないと思いました。
「普通の登下校取り戻したい」Web朝日新聞ニュースより
Web朝日新聞ニュース2006年03月01日
「普通の登下校取り戻したい」という記事を読みました。
栃木小1殺害から3カ月、事件後は、「子どもを1人にしない」を合言葉に、地域住民30人の通学路での見守りや、散歩をする人などの校区巡回が定着したということです。
しかし、保護者による登下校時の付き添いについては、そのために職場から早退を余儀なくされ、それが原因で仕事をあきらめるケースも出ており、保護者による登校時の付き添いはそろそろやめてもいい時期にきているのではという声も出ているそうです。
保護者にとって、登下校の付き添いはかなりの負担になっていることが伝わってきます。
また、記事では、「子どもたちは登下校の中で人間関係を学び、冒険心をくすぐることにも数多く出会っていたはずだ。その意味で、安全安心だけでなく、子どもたちだけの遊びや社会勉強の時間だった登下校を取り戻そうというそんな動きが芽生えている」ということですが、子どもの安全と教育とのトレードオフの関係がここにも見られるということなのでしょうか。
子どもの安全、子どもの教育、その両方を同時に解決できる対策を考える必要がありそうです。
NPOポリスチャンネルが「子ども安全ビデオマップ」を提供
NPOポリスチャンネルというHPを見つけました。
このNPOのHPで、「子ども安全ビデオマップ」~ぼくやわたしにもできる、犯罪から身を守る秘けつ~( 制作・著作:財団法人全国防犯協会連合会)が紹介されていました。
インタネット上で見ることができる20分程度のビデオで、小学校の低学年にもわかるクイズ形式で、通学路で犯罪から守る最も基本的な注意事項を解説しています。
ビデオの最後のほうでは、安全マップについて、子供が親と一緒に自分の通学路を歩いて危険箇所を確認し、安全マップを作成したという小学校の紹介もされていました。
ぜひ、参考にしていただきたいと思います。