NPOポリスチャンネルが「子ども安全ビデオマップ」を提供

NPOポリスチャンネルというHPを見つけました。
このNPOのHPで、「子ども安全ビデオマップ」~ぼくやわたしにもできる、犯罪から身を守る秘けつ~( 制作・著作:財団法人全国防犯協会連合会)が紹介されていました。
インタネット上で見ることができる20分程度のビデオで、小学校の低学年にもわかるクイズ形式で、通学路で犯罪から守る最も基本的な注意事項を解説しています。
ビデオの最後のほうでは、安全マップについて、子供が親と一緒に自分の通学路を歩いて危険箇所を確認し、安全マップを作成したという小学校の紹介もされていました。
ぜひ、参考にしていただきたいと思います。

”スまっぷ”をご利用いただいているPTAより、こんな要望をいただきました

先日、スまっぷをご利用されている学校のPTAの方々と面談する機会があり、今後スまっぷをさらに効果的に利用していくためのこんな改良要望を頂きました。
○”スまっぷ”の表示地図を学校が導入している学習ソフトにコピーして、PTAや子供たちが自由に安全マップを作成したい。
 →これについては、”スまっぷ”の画像をコピーする方法をお伝えして、それが可能であることをご説明しました。
○”スまっぷ”にこれまで登録されているデータを分析して、危険箇所の分析結果をさらにスまっぷに表示できるようにしたい。
 →たとえば、通りからの見透しがよくない公園、過去のデータから不審者がよく出る場所などを別の記号で登録できるようにすることは技術的に可能です。
要望に合わせて、新しい記号を登録できるようにします。
○”スまっぷ”に登録されているデータを、いつ削除するかのルールを決めて、一定期間ごとに更新することが必要。すべて表示しているとデータが多すぎて見づらいことや新たに危険箇所がふえているのかどうか判断がつきにくい。
 →データ削除のルールが決まれば、それに合わせて自動的に削除することは可能です。削除されたデータは、別途保存をしておき、分析に利用できるようにします。
○”スまっぷ”を使って安全マップを印刷する際に、地図を傾けてメイン道路を紙の向きに合わせて平行に印刷したい。
 →印刷原稿を作成するための編集用ソフトを利用すれば可能です。
○”スまっぷ”で作成した安全マップを全校生徒に配布するための印刷コストが高い。
 →通常のレーザプリンターで印刷しようとすると、カラー印刷するの場合、プリンターのトナー代がかかることや、印刷枚数が多い時間がかかり、紙の交換などそばに人がついていることが必要となります。場合によっては、印刷業者に依頼して印刷したほうが安いこともあります。
○”スまっぷ”を隣り合う学校で一緒に使えば、印刷費も低減することが可能になると思う。
 →ぜひ、地域全体で使うことを積極的に推進していきたい。
他にも、いろいろと沢山のご意見や要望をいただきました。
ぜひ、これを参考に、”スまっぷ”を改良して使いやすくしたいと思います。
また、スまっぷが広く推進できれば、コスト面でも節約できることがあると思いますので、推進協議会としてスまっぷの広い地域での活用を進めていけるようがんばります。

地域の安全低下は地域教育力の低下にも影響?

文部科学省による「地域の教育力に関する実態調査」報告(案)(2006.02.14)では、地域教育力について、保護者及びこどもに対して、アンケート調査を行っています。
この結果、子どもの保護者の過半数が、自分のこども時代と比べて地域の教育力が低下していると回答しています。
さらに、この原因についての質問に対し、
 1.個人主義が浸透してきているので・・・56.1%
 2.地域が安全でなくなり、子どもを他人と交流させることへの抵抗がある・・・33.7%
 3.近所の人々が親交を深められる機会が不足しているので・・・33.2%
 4.人々の居住地に対する親近感が希薄化しているので・・・33.1%
 5.母親の就労が増加しているので・・・30.1%
という結果が報告されています。
地域の安全低下が、地域の教育力も低下させていると感じている保護者が意外に多いということに驚きます。
これは、あくまでもアンケート調査ですから、このことだけで実際に地域の教育力と地域の安全が関係しているかは分かりませんが、地域コミュニティの関係が希薄になっていることだけは確かと思います。
また、地域の子どもたちに対して、地域の役割として何をすべきかという問いかけについては、
 ・社会のルールを教える
 ・自然環境を大切にする気持ちを教える
 ・人を思いやる気持ちを教える
ということが上位に入っています。
子どもたちに対する放課後や休みの日にどのように過ごしているかの質問には、家の中でテレビやゲームをして遊んでいるという回答が多いという結果です。
子どもが家の中にこもっていて、地域と接触することが少ない状況では、ここで挙げられている地域の役割を果たすことは、なかなか難しいのではないでしょうか。

不審者の声かけがどんなときに多いか

千葉県警のホームページに、「平成16年中に警察に寄せられた小学生以下を対象とした声かけ等の不審者情報113件の分析結果」が公開されていました。
この報告の主な内容を紹介いたします。
【声かけの多い時間帯】
 ・15時台が27.4%と最も多く発生しています。
 ・子ども達が下校(帰宅)する15〜18時までの間が、59.3%となっています。
【どんな場面で声をかけられるか】
 ・下校中の被害が54.0%と半数を占めています。
 ・登校中を含めた通学時帯の被害は69.9%となります。
 ・「遊び中」(15.0%)、帰宅途中(12.4%)が多くなっています。
【声をかけられる場所】
 ・路上が69.0%と約7割を占めています。
 ・マンション内、エレベーター内、自宅敷地内の自宅の直近は13.3%となります。
【声をかけられる時の人数】
 ・一人でいる時の被害が80.5%と約8割を占めています。
【曜日別】
 ・金曜日が22.1%と最も多く発生しています。
【声かけ等の手口】
 ・突然近づいてきて性的な行為を要求することが14.2%
 ・次いで、「○○はどこ?」など道案内を装って近づき誘い込む・・・10.6%
 ・「お菓子をあげるからおいで。」などと甘言を用いて誘い込む・・・10.6%
 ・警察官、医者あるいは卒業生等を装って近づく…6件(5.3%)
【難を逃れた手段】
 ・「その場から逃げ出した」が最も多くなっています。
 ・次いで、「断る」「抵抗する」「騒ぐ」「泣く」の順です。
これらの傾向は、千葉県の特殊な状況ではなく、他の地域でも共通することではないかと思いますので、参考にしてください。

不審者対策では解決できない滋賀の事件

今回の滋賀の事件は、報道にあるように母親の子育てにおいて精神的に追い詰められていたことが起因しているとすれば、これまで全国各地で進められている地域安マップをつくって、不審者情報を共有し、お互いに注意しあいましょうという対策では問題解決はできないという新たな課題を提示していると言えます。
こどもを守る側の親の方に問題があるとすれば、救いようが無いという気もしますが、意外に子育てノイローゼあるいはそれに近いような精神的ストレスを感じている親は多いのではないでしょうか。
つくば市では、このようなこどもの親同士が互いに抱える問題をお互いに相談しあって解決しましょうということで、母親クラブや子育てNPO(ままとーん)などの団体が活動しています。
やはり、このような地域の活動が、今回のような問題を引き起こさなくても済むような環境づくりという意味で、重要な役割を担っているといえるのではないでしょうか。
是非、このような団体が、地域の安全度を高めるという意味でも、より活発に活動されることを期待したいと思います。

子どもたちを守る地域力の指標

昨日17日、滋賀県の長浜市で、幼稚園児の母親が近所の同じ幼稚園に通う二人の子どもを一緒に車で送る途中殺害するという事件が起きました。
これでは、もはや子どもを守るどんな方法も無力ではないかと暗澹たる気持ちになってしまいます。
報道されていることによると、おそらく殺害した母親の精神的な問題であるということですが、以前にも似たような事件があったことを思い出します。
あらためて、子どもたちはいつもあらゆる危険性にさらされているということを思い知らされました。
社会の安心して暮らせる度合いを、もし数値化することができたとしたら、今の社会、その数値は確実に低下しているように思います。
安心して暮らせるような社会の評価指数は、その社会に住む人々の価値観と地域社会力によって表現されるのではないでしょうか。
価値観については、人々が多様性をどれだけ認められるか、あるいは受け入れられるかです。自分とは違う価値観を持つ人がいるときに、それを受け入れようとすることは、結果として他人を思いやる気持ちを持つことができると考えるからです。
もっと平たく言うと、他人の気持ちが分かるということが、安全な社会を構成するための必要条件だと思うのです。
地域社会力とは、地域の結束力と言ってもいいと思います。地域の安全は一人の力では無力に近く、地域全体の相互協力関係による力が不可欠と思います。
具体的に言うと、学校とPTA、保護者の関係、行政と学校、学校と地域企業、学校とボランティアなど、あらゆる関係が強くなることによって、犯罪を防止したり、危険を回避できる力になるということです。
実際には、これらの要素を数値化することは難しいと思いますが、子どもを守る基本的な考え方として、もう一度これらの関係を検証してみる必要があるのはないでしょうか。
そんなことを考えながら、滋賀県長浜市とはどんなところか、滋賀県の統計データなどを見てみました。
長浜市は、滋賀県の北部に位置し、経済的には農業人口の割合が高く、事件の起きた場所の航空写真を見ると比較的水田の面積が多く見られます。子どもたちにとっては、環境は良いように思います。
犯罪の発生状況については、滋賀県の市町村の中では平成17年度犯罪率が3位となっていて、周辺の市町村より犯罪率は高いようですが、その多くは車や自転車などの窃盗が占めています。
今回の事件に関するいくつかのBlog記事を見てみました。グループ登園についての記事がいくつかあり、園児の母親にグループ登園への協力を強制するようなことがなかったかのか気になるという記事がありました。
これらのことから、今回の事件と地域の安全度との関係を直接見出すことはできそうもありませんが、地域社会と安全という視点から今回の事件の原因追究は必要なことではないでしょうか。

子どもたちが作った安全マップを次にどう活かすか

通学路の安全を守る4つのステップs内閣府の「登下校時の安全確保等のための緊急対策」の効果でしょうか、インターネットでみると各地で小学校の子どもたちが地域安全マップを作成している例が多く発表されています。
子どもたちが、安全マップを自ら体験的に作成するプロセスを通じて、地域の安全について見る目を養う効果や、協力した地域の方々による情報共有効果もあったのではないかと思います。
この子どもたちが努力して作成したこれらの安全マップを、そのとき限りのものとするのは大変もったいないことだと思います。
次のステップとして、子どもたちの保護者をはじめ、地域の商店、母親クラブ、ボランティアなど、地域の多くの人々に共有され、それぞれの立場で子どもたちの安全に寄与できるようにすることが求められます。
この子どもたちの安全マップを活用する4つのステップについて考えてみました。
図に示しますように、まずステップ1として、子どもたちが実際に自分の通学路の危険箇所についてしらべ、紙をベースとした安全マップを作成します。
しかし、このままでは他の人がみても子どもたちの作った地図が地域のどの場所かを正確に特定できるとは限りません。
そこで、ステップ2として、インターネット上にある地域全体の正確な地図上に、子どもたちが調べた危険箇所を転記します。
これによって、どこにどのような危険箇所があるかを、地域全体で共有できるようになります。
ステップ3として、それぞれの地域活動グループにおいてその情報に基づいた地域の安全性について分析し、自分たちでできる対策を考えます。
ステップ4では、実際に安全活動をした結果を踏まえて、地域の安全がどのように向上したかを確認します。
このようなサイクルを繰り返すことで、地域の安全が守られるものと思います。

内閣府:登下校時の安全確保等のための緊急対策

内閣府の犯罪から子供を守るための対策に関する関係省庁連絡会議は、平成17年12月に登下校時の安全確保等のための緊急対策として次の6項目を発表しています。
○ 全通学路の緊急安全点検
○ 全ての学校における防犯教室の緊急開催
○ 全ての地域における情報共有体制の緊急立ち上げ
○ 学校安全ボランティアの充実
○ 路線バスを活用した通学時の安全確保
○ 国民に対する協力の呼びかけ
これらの具体策としては、「全ての小学校区において、平成18 年3 月までに、全学校区・全通学路の安全点検を行うよう要請し、点検の結果については、警察やボランティアのパトロールに直ちに反映させるほか、子どもが実感を持って危険箇所を認識することができるよう、全国の全ての小学校で通学安全マップを作成するなど子どもへの防犯教育への活用や地域における対策につなげることを要請する。」としています。
また、「平成18 年3 月までに、全ての地域において、不審者情報について、警察が中心となり、学校、教育委員会、保護者、児童、地域住民等と連携し、情報が潜在化することがないよう共有化のためのネットワークを構築する。」となっています。
現在全国でこのような取り組みが進んでいるものと思いますが、“スまっぷ”もこのような対策の一手段として利用していただけるよう協力していきたいと思います。

子どもにとって安心安全な通学路とは

学校を核とした住宅市街地整備の推進に関する報告書((財)国土技術研究センター平成15年3月)によると、子どもたちの通学路の安全な整備のあり方にとして、次のようにまとめています。
 ①子どもにとって安全・安心な通学路
  ア 交通事故や転倒事故等に遭う危険性や不安感の少ない通学路等
  イ 周囲からの見通しが確保された通学路等
  ウ 周囲に「人の目」が確保された通学路等
  エ 夜間には一定の照度が確保された通学路等
  オ 緊急時には避難する場所が確保された通学路等
 ②子どもにとって魅力的な「通楽路」
  ア 沿道に四季折々の花があり、小鳥がさえずり、
    心地よい風や星空が楽しめる通楽路
  イ ゴミが放置されず、違法駐車が少ない
  ウ 地域の歴史や文化を見い出し、美しいまち並みが続き、
    時にはイベントが行われ、地域の人たちと挨拶が交わせられる
 ③高齢者等が外出しやすい散歩道
  ・子どもだけでなく、高齢者や障害者にとっても安全・安心
  ・高齢者が休めるようなスペースの整備は、通学路等の通行量が増え、
   視線が確保されることにより、子どもの安全・安心につながる。
この中で特に関心を持ったのは、②と③の子どもや高齢者にとっても魅力的な通学路について触れている点です。子どもたちが通学路で犯罪被害にあわないか、交通事故にあわないかなど、びくびくしながら歩かなければならないとしたら、実に悲しいことですし、そのような環境で子どもたちが情緒豊かに育つのかどうか、不安を覚えます。
鳥が鳴き、花が咲き、通りの人々が楽しく対話しているそんな通学路、現実とは程遠いとも思われるそんな通学路をなんとか取り戻したい、そんな気持ちになります。
この報告書では、通学路等の整備に当たって、次の5つの基本方針に基づき、犯罪等に対して安全な整備のあり方を検討し、関連施設の計画、設計及び維持管理を実施するとしています。
 ア 車の接近を妨げる
  ・通学路に犯罪企図者の車が容易に接近しにくいように、
   歩車道の分離措置を講じる。
 イ 周囲からの見通しを確保する
  ・通学路等及び沿道敷地の樹木や囲障等は、
   周囲からの死角の原因にならないよう留意する。
  ・通学路等及び沿道敷地の屋外照明は、一定の照度が連続して確保。
 ウ 周囲からの視線を確保する
  ・通学路等に対する自然な視線が確保されるように、
   沿道に居室の窓や居住者管理の花壇等を配置する。
  ・公園、広場、学校施設、集会施設等の魅力を高めることにより、
   子どもや地域住民の利用機会を増やす。
 エ コミュニティ形成を促進する
  ・通学路等の沿道に、子どもたちや地域住民等が集える場所を確保。
  ・公園、広場、学校施設、集会施設等の魅力を高めることにより、
   子どもや地域住民等による適切な維持管理を促進する。
 オ 緊急時における避難・通報体制の確保
  ・通学路等の沿道に、子どもたちや地域住民等が緊急時に避難できる
   場所を確保する。(「子ども110番の家」等)
  ・地下通路、公衆便所等、周囲からの視線が確保できにくい場所には
   必要に応じて緊急時の通報装置等を設置する。
このような観点から、現状の子どもたちの通学路について、地域が協力して診断できないでしょうか。

アメリカでの安全情報公開の状況

先週、つくば国際会議場で地理情報(GIS)フォーラムがあり、参加してきました。
フォーラムの中で、アメリカでは性犯罪を犯した者の居所や、その人が過去にどのような犯罪を犯したかなど、詳細な情報がインターネットの地図上で検索できる仕組みがあるという事例が紹介されていました。
場所はロスアンジェルスということでしたが、紹介された地図には殆どびっしりと犯罪者の居住場所がプロットされていて、こんなにも性犯罪者が多いのかと改めてアメリカの治安の悪さに驚きました。
それと同時に、ここまで詳細な情報が一般市民の誰もが見られるサイトで公開されていることにも驚きました。これは、メーガン法と呼ばれる法律に基づいて実施されているそうです。
地図画面を拡大すると、犯罪経歴をもつ者の家を特定できますし、さらにプロットされているポイントを選択すると、顔写真や詳細な個人情報が表示されるのです。
性犯罪者にたいする情報公開の方法は、州によっても大きく違うそうで、一概にアメリカでは・・・ということはできませんが、日本でも最近性犯罪者は再犯性が高いということで、奈良県の女児誘拐殺害事件を契機に、法務省は性犯罪者の処遇プログラムが検討され、先月にはその内容が公開されています。
プライバシー保護の問題や犯罪経歴をもつ者の社会復帰が困難になるなどの問題も考えられますが、それ以上に子どもの命を守ることが優先されるべきという判断なのでしょう。
難しい問題だと思います。